組織改善のフレームワーク12選!手法や事例も紹介!

組織改善を考える人々

組織の成長や変革を目指す際、どのように課題を整理し、改善策を立案すればよいか迷うことは少なくありません。本記事では、組織改善・組織開発に役立つ代表的なフレームワークを体系的に紹介し、フレームワークごとの企業事例についても紹介します。戦略や文化、人材育成、意思決定の最適化など、さまざまな角度から組織を分析・改善する手法を知ることで、自社に最適なアプローチのヒントを見つけてください。

組織改善・組織開発とは

組織改善とは、組織の構造や役割、機能、業務の進め方を見直して変更することで、業務効率や成果を高める取り組みのことです。また、組織開発は、単なる仕組みの変更にとどまらず、組織のメンバー自身が主体となって、組織をより良くする活動や、その支援を行うプロセスのことです。メンバー自身が成長し、互いに学び合いながら組織の課題を解決していくプロセスを重視する点で、組織改善とはアプローチの焦点が異なるものの、どちらも組織のパフォーマンスや成果を向上させることを目的とすることや、組織の課題を明らかにし、改善策や変化を導入するプロセスは共通しています。

なぜフレームワークが重要か

企業が成長を続けるためには、市場環境の変化に柔軟に適応しながら、組織としての生産性や成果を継続的に向上させることが求められます。そのためには、組織改善や組織開発において課題を可視化し、戦略的に対策を立てることが重要です。フレームワークは、組織構造や業務プロセス、メンバーの役割などの現状を整理・分析する枠組みとして、課題の特定や改善策の優先順位付け、戦略立案の精度向上に最適です。フレームワークを用いることで、感覚や経験だけに頼らず、データや論理に基づいた意思決定が可能となり、組織の成長と持続的な組織改善を行うことができます。

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組織改善・組織開発のフレームワーク12選!

実際に組織改善・組織開発において活用できるフレームワークにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、12種類の代表的なフレームワークを紹介します。

マッキンゼーの7S

マッキンゼーの7Sモデルは、組織を7つの要素(S)に分解して分析することで、戦略から人材、文化までを包括的に整理し、組織の強みや課題を明確化し改善の方向性を示すためのフレームワークです。7Sは、戦略(Strategy)、構造(Structure)、システム(Systems)の「ハードS」と、スキル(Skills)、人材(Staff)、スタイル(Style)、共有価値観(Shared Values)の「ソフトS」の計7要素で構成されています。このモデルは、単一の課題ではなく、複数の要素が絡み合う組織全体の問題に対して特に有効で、各要素の整合性を確認しながら改善策を策定することで、組織改善に役立ちます。

マッキンゼーの7Sの活用手順

  1. 7つの要素について現状を整理します。
  2. 目標を設定
  3. 現実と目標との乖離・ギャップを分析
  4. 改善策の策定:ハードのSは変更しやすく、組織改革・プロセス改善の上でポイントとなります。ソフトのSは文化・能力に関わるため長期的な改善が必要です。
  5. 実行とモニタリング:改善策を実行し、定期的に目標への進捗を確認、修正を行うことが重要です。
  6. 1〜5を繰り返す。

マッキンゼーの7Sの活用事例

スターバックスは、マッキンゼーの7Sモデルを活用している企業の1つです。

戦略(Strategy)では、高品質な製品とサービスの提供による差別化や「第三の場所」となる店舗体験の提供、技術革新の導入を掲げ、組織構造(Structure)では地域別・ブランド別・機能別のハイブリッド構造により地域ニーズに対応しつつブランドの一貫性を保持しています。

業務プロセスや評価制度などのシステム(Systems)も整備され、モバイル注文や支払い機能で顧客利便性を高めています。共有価値観(Shared Values)として倫理的調達や環境配慮、地域貢献を重視し、リーダーシップスタイル(Style)は従業員との対話を重視する協力的な環境を作り出しています。スキル(Skills)面ではバリスタの専門知識や接客能力を磨き、人材(Staff)面では従業員を「パートナー」と位置づけ、採用・育成・評価制度を通じてエンゲージメントを高めています。これら7つの要素が相互に連携し整合性を持つことで、スターバックスは組織のパフォーマンスを最大化し、持続可能な成長を実現しています。

参考元:【マッキンゼー7Sモデルとは】スタバ・ユニクロ・Netflixを事例に解説 – Marketing101

ミッション・ビジョン・バリュー

「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」は、組織改善や戦略策定において方向性と文化を明確にするフレームワークです。ミッションは組織の存在意義や目的を示し、日々の意思決定や行動の指針となります。ビジョンは将来達成したい姿を描き、組織メンバーのモチベーションを高め方向性を共有する役割を果たします。バリューは組織やメンバーが重視する価値観や行動規範を示し、文化の醸成や意思決定の一貫性を支えます。

MVVを明確化・共有することで、戦略や施策の整合性を高め、組織文化を統一し、社員の意欲を向上させることができるため、組織改善や変革の土台として有効です。

ミッション・ビジョン・バリューの活用手順

  1. 課題の整理
  2. ミッションの明確化:組織の存在意義・目的の再定義
  3. ビジョンの設定:将来のビジョン、中長期目標の具体化
  4. バリューの浸透:組織の価値を再確認、研修やワークショップで社員の理解と共感を促進する
  5. 実行とモニタリング
  6. 1〜5を繰り返す。

ミッション・ビジョン・バリューの活用事例

花王株式会社では、組織の方向性と文化を明確にするためにミッション、ビジョン、バリュー(MVV)を活用しています。ミッションでは「豊かな共生世界の実現:生活を豊かにし、地球環境を守る製品とサービスで社会に貢献する」ことを掲げ、ビジョンでは「人をよく理解し期待の先いく企業に」を目指しています。バリューは「正道を歩む

、よきものづくり、絶えざる革新」を軸に、社員の行動指針としています。花王はMVVを戦略や業務、評価制度、人材育成に組み込み、組織文化を醸成することで、持続可能な成長と社会的責任の遂行を実現しています。

参考元:MVV企業例28選!有名・中小企業の事例や100種以上の「バリュー」一覧も紹介  ‐福利厚生ナビ – HQ

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、組織改善や目標管理に用いられるフレームワークで、達成したい定性的な目標(Objective)と、それを測定できるようにする具体的な成果指標(Key Results)で構成されます。OKRを活用することで、組織やチームの目標を明確化し、進捗を可視化することができ、優先順位の整理や自律的な行動の促進にもつながります。

OKRの活用手順

  1. 目標の設定と共有:組織全体、チーム、個人のそれぞれに達成するべき目標・Objectiveを設定する
  2. 成果指標KRの明確化:各目標に対して、KRを設定する
  3. 優先順位の整理
  4. 自律的な行動の促進:社員・チームが目標の達成に責任を持つように促す
  5. 実行とモニタリング
  6. 1〜5を繰り返す。

OKRの活用事例

Googleでは、組織改善の手段としてOKRを活用し、全社・チーム・個人の目標と具体的成果指標を設定して進捗を可視化しています。毎年全社的に目標を共有し、従業員がOKRを作成・発表することで、目標に向けた行動を統一し、その達成度は%で評価され、理想は60~70%とされることで高い目標設定を促し、組織の成長とパフォーマンス向上を実現しています。

参考元:OKRとは?Googleやメルカリも導入する目標管理手法を解説 | HR大学

タックマンモデル

タックマンモデルは、チームが形成されてから高いパフォーマンスを発揮するまでの過程を示すフレームワークで、Forming(形成期)、Storming(混乱期)、Norming(規範期)、Performing(実行期)、場合によってはAdjourning(解散期)の5段階で構成されます。タックマンモデルは、チームがどの段階にあるかを把握して適切なサポートや介入を行い、摩擦や対立の原因を特定しつつ協力体制を強化することで、チームの心理的安全性を高め、パフォーマンスを向上させることができるフレームワークです。

タックマンモデルの活用手順

  1. チームの現状把握:チームの段階を把握し、サポートや介入が必要かを検討する
  2. 摩擦・課題の原因特定:Storming(混乱期)の対立、意見衝突の原因を明確にする
  3. チームの成長支援:Norming期に協力体制を強化する施策を導入、Forming期には目標共有や役割明確化の支援を行う
  4. パフォーマンスの最大化:Performing期には効率的な意思決定や自律的行動を促進する
  5. 実行とモニタリング
  6. 1〜5を繰り返す。

タックマンモデルの活用事例

株式会社オアシスライフスタイルグループでは、タックマンモデルを意識して新たなコミュニケーションツールを導入しています。社員数や店舗数の増加により従来の情報共有が滞りがちだったため、SNS形式のツールを活用し、社員間でリアルタイムに情報を交換できる仕組みを整えました。これにより、社員同士の交流が活発になり、打ち解けるスピードが向上し、情報の流れがスムーズになったことでチームの協力体制が強化され、組織改善が実現されました。
参考元:タックマンモデルとは?チームを上手く機能させるための方法を解説

PDCAサイクル

組織改善のフレームワークPDCAサイクル

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階からなる組織改善のフレームワークで、目標達成や業務改善を継続的に行うために活用されます。PDCAサイクルにより、業務プロセスの効率化、目標管理の明確化、組織文化の改善、チームの協力体制の強化が可能となり、組織全体のパフォーマンス向上と継続的成長が期待できます。

PDCAサイクルの活用手順

  1. Plan(計画):課題・目標の明確化、達成のための手順の策定
  2. Do(実行):計画にとって試験的に改善の実施、導入を行う
  3. Check(評価):実施結果を測定・分析
  4. Act(改善):計画の修正、Planの改善を行う

PDCAサイクルの活用事例

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、組織改善においてPDCAサイクルを活用し、リーダー育成や安全活動、組織文化の改善に取り組んでいます。次世代リーダー育成プログラムではPDCAを回しながら学習と実践を進め、明石工場では安全基準の統一やリーダーとメンバーの関係改善により事故削減や組織活性化を実現しました。このようにPDCAサイクルを各施策に組み込むことで、継続的な改善と組織の成長を促進しています。

参考元:企業のPDCAサイクル導入事例8選!業績アップや効率化につなげよう | あそぶ社員研修

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、企業の活動を価値を生み出す一連のプロセスとして可視化し、強みや改善点を明確化するフレームワークです。マイケル・ポーターが提唱したこの手法では、原材料の受け取りから製造、出荷、販売、アフターサービスまでの主活動と、経営管理や人事、技術開発、調達などの支援活動に分けて分析します。組織がどのプロセスで価値を創出し、どの部分でコストや非効率が生じているかを明確にすることで、競争優位の源泉や改善点を特定できる手法です。

バリューチェーン分析の活用手順

  1. 業務プロセスの可視化:各プロセスの価値創出やコスト構造を明確化
  2. 強み・弱みの特定
  3. 効率化・最適化:無駄・重複の削減
  4. 戦略策定と改善

バリューチェーン分析の活用事例

マクドナルドでは、バリューチェーン分析を活用して業務の標準化と効率化を進め、競争優位性を確立しています。調達から調理、配送、顧客サービスまでのコア業務と、技術投資やフランチャイズ管理などの支援活動を統合し、製品の品質維持とコスト最適化を図っています。またキッチン作業は時間と手順を厳格に管理し、デジタルタイマーやタッチスクリーンなどの技術を活用することで、迅速かつ均一な調理を可能にしています。これにより、顧客満足度向上と業務効率化を両立し、組織改善と持続的成長につなげています。

参考元:バリューチェーン分析とは?やり方と成功事例をテンプレート付きで紹介 | ワードプレステーマTCD

経験学習モデル

経験学習モデルは、デイビッド・コルブが提唱した学習理論で、具体的な経験(Concrete Experience)、内省的観察(Reflective Observation)、抽象的な概念化(Abstract Conceptualization)、能動的実験(Active Experimentation)の4つのプロセスを通じて個人や組織改善を図ることができるフレームワークの1つです。どちらかというと上手く行かなかった事象に焦点を当てて振り返りを行う手法を用いた業務改善法ともいえるでしょう。

経験学習モデルの活用手順

  1. 業務プロセス改善への応用:これまでの業務・事業の経験から成功・失敗の要因を振り返る
  2. 経験の分析とフィードバック
  3. チーム学習:チーム内で個人の経験、成果を共有することで全体の改善や協力体制を向上させる
  4. 改善の定着と実際に試行を行う

参考元:5分でわかる経験学習!経験を成長につなげる具体的な方法とは | HR Trend Lab

経験学習モデルの活用事例

企業としての活用事例はありませんが、実際に人材が副業留学等を行うことで、その経験を通じて座学では得られない実践的な業務への理解が深まったという報告がありました。以下に実際のレポートが載っています。

詳しくはこちら:【事例あり】経験学習モデルとは?人材育成に活かすときのポイント、実践事例を解説 | 越境学習のご案内

SWOT分析

SWOT分析は、組織の内部環境(Strength:強み、Weakness:弱み)と外部環境(Opportunity:機会、Threat:脅威)を分析し、内部・外部の環境を整理することで、組織の強みを活かし、弱みを改善しつつ、機会を取り込み、脅威に備えるためのフレームワークです。課題やリスクを明確化し、戦略的に改善策を立案する際に有効に活用できます。

SWOT分析の活用手順

  1. 目的の設定
  2. 外部環境の分析
  3. 内部環境の分析
  4. 戦略を立てる

参考元:【初心者向け】SWOT分析とは?目的からやり方、活用のポイントまで | Urumo!

SWOT分析の活用事例

AppleはSWOT分析を活用し、組織改善と戦略立案を行っています。内部環境では、強力なブランド力や高い利益率、迅速なイノベーションといった強みを活かしつつ、iPhone依存や高価格戦略による市場制限などの弱みを認識して改善策を検討しています。外部環境では、新製品やサービス部門の拡大、新興市場への進出といった機会を活用しながら、競争激化や模倣リスク、サプライチェーン依存などの脅威に対応しています。これにより、Appleは製品ポートフォリオや地域戦略の強化、技術革新とリスク管理を組み合わせて競争力の維持・向上を図っています。

参考元:【図解・事例付】新規事業のSWOT分析のやり方/活用事例を解説

ワールドカフェ

ワールドカフェは、組織改善や知識共有のための対話型のフレームワークで、参加者同士が自由に意見を交換し、新しいアイデアや気づきを生み出す手法です。カフェのようなリラックスした雰囲気の中で小グループに分かれてテーマに沿った議論を行い、定期的にグループを移動しながら多様な視点を交わすことで、組織全体の創造性や協働力を高めます。

ワールドカフェの活用手順

  1. 運営準備:目的の明確化、雰囲気づくり等
  2. 第一ラウンド:テーマについて自由に話す
  3. 第二ラウンド:アイディアを深堀
  4. 第三ラウンド:新しい気づきを纏める

ワールドカフェの活用事例

三井物産および三井物産人材開発会社は、大手商社やグループ各社向けの研修で体験学習やワールドカフェを導入しており、東京大学との共同研究を通じて、組織風土改革やコミュニケーション活性化の手法としてワールドカフェやグループディスカッションを導入しています。

参考元:ワールドカフェとは?やり方、事例、効果的な問いの作り方を解説 | 組織開発・人材育成|ALL DIFFERENT株式会社

フューチャーサーチ

フューチャーサーチは、マーヴィン・ワイスボード氏とサンドラ・ジャノフ氏が提唱した、大規模な関係者を集めて議論し難易度の高い課題の解決策を見出す手法です。社員だけでなく顧客や協業企業、地域住民など多様な関係者を参加させ、過去・現在・未来の状況や望む状況を共有しながら、共通の目的に基づくアクションプランを作成します。外部の意見を取り入れつつ自社の軸を保つことで、課題解決と組織の外部環境への適応を同時に促進できるフレームワークです。

フューチャーサーチの活用手順

  1. 過去を振り返る
  2. 現在を探究:課題に影響する事柄を纏める
  3. 理想的な未来のシナリオを作る
  4. コモン・グラウンド(共通の拠りどころ)を明確化する:3の内容から価値観を抽出する
  5. アクションプランを作成

参考元:フューチャーサーチ~利害を越えた対話から、皆が望む未来を創り出すファシリテーション手法~|インサイトレポート|リサーチ|WHAT WE DO|HUMAN VALUE

フューチャーサーチの活用事例

企業事例は少ないもののAIとフューチャーサーチを組み合わせた会議については、神戸大学にて報告されていました。以下の報告書内で事例が紹介されています。

詳しくはこちら:全社員を対象とした対話型組織開発に関する評価研究

アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)

アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)は、組織や人の強み・可能性に焦点を当て、対話を通じて理想の未来を共創する手法です。1980年代にアメリカで生まれ、人材開発やチームビルディング、組織開発などで活用されます。過去の成功体験や強みを振り返り、それを基にメンバーが望む未来像を描き、その実現に向けた行動を主体的に行うプロセスが特徴です。AIは単なる手法ではなく哲学も重視し、4Dプロセスと8つの原則を組み合わせて、組織の本来の力や価値観を引き出すことを目的としています。

AIの活用手順

  1. 戦略テーマの設定
  2.  Discover(発見):成功・強みに光を当てる
  3.  Dream(理想):理想の未来を想定する
  4. Design(設計):実現策を考える
  5.  Destiny(実行)

AIの活用事例

マクドナルドでは、組織や人材の理想像を探るため、毎年テーマを変えてAIサミットを開催しています。1999年にはHRミッドウェストグループが「世界一の戦略的ビジネスパートナーへ」、2000年にはリーダーシップシンポジウムでグローバルなスタッフィングと人材保持、2001年にはシカゴリジョンで戦略的競争優位性の定義、2003年にはサービスセンターで卓越したチームビルディング、2004年にはHRコンサルティンググループで「パーフェクトなアラインメント~HRがラインをサポートする~」といったテーマで実施され、組織の強みや未来像の共創を促進しています。

参考元:HUMAN VALUE AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

PPM分析

PPM分析(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は、企業の製品や事業を市場成長率と市場占有率の2軸で分析し、花形、金のなる木、問題児、負け犬の4つに分類するフレームワークです。1970年代にBCGによって開発され、多角化経営下での事業ポートフォリオの最適化のために活用されてきました。主な目的は、限られた経営資源を戦略的に配分し、投資優先順位を明確化することで、長期的な成長と収益性向上を図ることです。

PPM分析の活用手順

  1. 分析対象の選定、データ収集
  2. サービス、製品を選定
  3. 市場成長率と市場占有率の算出:市場成長率 = 本年度市場規模 ÷ 昨年度市場規模 市場占有率 = 自社製品・サービスの売上高 ÷ 市場規模
  4. マトリクスへのマッピング
  5. 実行と改善

参考:PPM分析とは?目的や具体的なやり方、事例をわかりやすく解説 | 記事一覧 | 法人のお客さま | PERSOL(パーソル)グループ

PPM分析の活用事例

株式会社ファーストリテイリングでは、ユニクロやGUなど複数のアパレル事業を展開しています。1994年にフリースが大ヒットしたユニクロは「金のなる木」となり、その利益をもとに2002年に新規事業「SKIP」を立ち上げましたが、成果が出ず2004年に撤退し「負け犬」と評価されました。その後、SKIPに投じる予定だった経営資源で低価格ファストファッションブランド「GU」を設立。GUはすぐに人気となり、「金のなる木」に成長しました。

参考:PPM分析とは?やり方や具体例をわかりやすく解説 | 株式会社ディグロス

組織改善・組織開発におけるフレームワークの注意点

組織改善の注意点

ここまで紹介したフレームワークは組織開発に非常に有効ですが、活用する際にはいくつかの注意点があります。まず、フレームワークはあくまで目的達成のためのツールであることを忘れないことが重要です。そのため、手順や形式に固執しすぎず、状況に応じて柔軟に調整したり、一時的に中断したりすることが求められます。また、フレームワークの適用によって現場の社員に過度な負担がかからないかにも注意が必要です。そもそも組織開発の目的を明確にしておくことで、フレームワークはあくまで手段として適切に活用でき、他に適した方法があれば無理に用いる必要はありません。それぞれの役割を理解した上で、最適な方法を選択することが大切です。

組織改善・組織開発のポイント

組織戦略を成功させるためには、戦略の策定だけでなく、その実行と継続的な改善が不可欠です。まず、組織全体の現状を正確に把握し、強みや課題、従業員のエンゲージメント、ビジョンの浸透状況、業務プロセスや組織構造の適応力を確認することで、戦略策定の基盤を整えます。次に、企業の「ありたい姿」を明確化し、ミッションや中長期目標、企業文化や価値観を共有することで、従業員の意思統一と行動統一を促します。さらに、マネジメント教育を徹底し、リーダーシップや意思決定力、コーチングやフィードバックスキル、柔軟な対応力を強化することで、組織全体のパフォーマンスを高めます。そして、ビジョンや目標に沿った人材の採用・定着を戦略的に行い、人材を強化することで組織の競争力を向上させ、持続的な成長を実現します。

組織改善・組織開発の手法と手順

どのフレームワークを用いる場合においても、組織改善・組織開発に重要な手段には共通する要素があります。効果的に組織改善・組織開発を進めるためには、まず目的を明確化し、「何を、いつまでに、どのような状態にしたいのか」を組織内で共有して共通認識を持つことが重要です。

次に、現状把握として、管理職や現場の社員からヒアリングやアンケートを通じて情報を収集し、事実と意見を整理します。現状と目的のギャップを分析したうえで、課題設定を行い、どの部分に働きかけるべきかを見極めます。

その後、プランニングと実施として、小規模でアクションプランを試行し、早期に効果検証を行うことで改善点を把握しつつ、リスクを最小限に留めて先行事例を作ります。

そして、結果の検証を行い、成功要因や改善点を分析して全社展開の準備を整えます。規模の拡大段階では、社員一人ひとりが当事者意識を持って主体的に取り組めるよう、説明会やマニュアルで手順や留意点を周知します。

最後に、見直しとして定期的に振り返りを行い、目的達成度や課題を確認し、必要に応じて改善プロセスを再度実施することで、持続的な組織改善を実現します。

まとめ

組織改善・組織開発には、さまざまなフレームワークが存在し、それぞれが異なる課題解決や組織変革の側面をサポートします。実際の現場では、単一の手法だけでなく、目的や状況に応じて複数のフレームワークを組み合わせることで、より効果的で実践的な改善が可能になります。しかし、その前提として重要なのが「何を改善すべきか」という課題の特定です。組織の課題は目に見えにくく、経営層やマネジメントだけでは把握しきれないケースも少なくありません。

そこで役立つのが ラフールサーベイ です。ラフールサーベイでは、従業員の意識、エンゲージメント、業務への満足度、職場の人間関係などを幅広く調査し、数値やデータとして可視化します。これにより、例えば「離職リスクの高い部署はどこか」「社員のモチベーションが低下している要因は何か」「職場コミュニケーションに課題があるのはどのチームか」といった具体的な組織課題を浮き彫りにすることができます。さらに、定期的に実施することで組織の変化を追跡でき、改善施策の効果測定や新たなリスクの早期発見にもつながります。

まず課題を正確に発見し、その後に適切なフレームワークを選択して実行することで、目的が明確化され、効率的かつ持続的な組織改善・組織開発が可能になります。

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