職場の人間関係が原因で、仕事そのものがつらく感じていませんか。
職場の人間関係は、働く環境・評価制度・組織文化など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じます。
この記事では、人間関係がストレスになりやすい理由を整理したうえで、個人ができる現実的な対処法、そして限界を感じたときの選択肢までを、順を追って解説します。
職場の人間関係で悩む人はどれくらいいる?
多くの労働者が「対人関係」にストレスを感じている
職場の人間関係に関する悩みは、決して一部の人だけの問題ではありません。
厚生労働省の「令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、仕事や職業生活に関するストレスとなっている事柄があると答えた労働者にその内容(主なもの3つ以内)を尋ねた結果は、以下の通りでした。
「仕事の量」43.2%
「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%
「仕事の質」26.4%
「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」26.1%
この調査結果から、約4人に1人が、上司・同僚・部下との人間関係を主なストレス源として挙げており、職場での関係性が働きやすさに大きな影響を与えていることが分かります。
退職理由の上位に挙がる「人間関係」
退職の理由を見ても、人間関係の影響は顕著です。
令和5年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由の上位をみてみると、「職場の人間関係」は男女ともに4位までにランクインしています。
男性
「その他の個人的理由」17.3%、
「その他の理由(出向等を含む)」14.0%
「定年・契約期間の満了」16.9%
「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%
女性
「その他の個人的理由」25.1%
「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%
「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%
この調査結果からは、職場の人間関係が離職理由の上位に挙がるほどに深刻な問題であることが分かります。
職場の人間関係がストレスになりやすい理由
職場での人間関係の悩みは、単なる性格の不一致だけでなく、組織構造や業務設計に起因するケースが少なくありません。
期待や価値観のすれ違い
上司・同僚との間で、仕事の進め方や「当たり前」の基準が異なると、意思疎通が難しくなります。
たとえば、報告の粒度やスピードに対する認識が合っていないと、双方に不満が蓄積しやすくなります。
実際、仕事上の責任や失敗、業務量に関するストレスは多く、上司との認識ギャップが背景にあることも珍しくありません。
業務配分への不満
役割が曖昧だったり、一部の人に負担が集中したりすると、「不公平だ」という感情が生まれます。
努力と評価が釣り合っていないと感じる状態は、チーム内の信頼関係を損ないやすく、人間関係悪化の引き金になります。
助け合いの偏り
協力が一方通行になると、「与えるばかりで報われない」という感覚が強まります。
感謝や承認が得られない状況は、心理的な疲労を蓄積させ、人との距離を広げてしまいます。
声を上げにくい職場風土
安心して相談できない環境では、小さな違和感が放置され、問題が深刻化します。
「評価が下がりそう」「迷惑をかけたくない」といった不安が、コミュニケーションを抑制してしまうのです。
職場の人間関係からくるストレスや症状
精神的な症状
- 不安や緊張が続く
- イライラしやすくなる
- 意欲や自信の低下
- 気分の落ち込み
人間関係のストレスが続くと、不安感やイライラ、意欲低下、自己否定感などが現れやすくなります。
こうした状態が長引く場合、メンタルヘルス不調の前兆である可能性もあります。気分の落ち込みが長期間続く場合は、専門家への相談も検討が必要です。
身体的な症状
- 睡眠の質の低下
- 頭痛や胃の不調
- 慢性的な疲労感
- 動悸やめまい
心理的な負担は、不眠、頭痛、胃腸の不調、慢性的な疲労感など、身体症状として現れることもあります。
検査で異常が見つからない場合でも、ストレスが原因であるケースは少なくありません。
行動面での変化
- 遅刻や欠勤が増える
- 周囲との関わりを避ける
- 仕事のパフォーマンス低下
- アルコール等への依存
遅刻や欠勤が増える、人との関わりを避ける、仕事のミスが増えるなど、行動面の変化も重要なサインです。
本人だけでなく、周囲が気づくことも多いため、早めの対応が求められます。
【すぐにできる】職場の人間関係を楽にする対処法

人間関係のストレスを完全になくすことは難しいですが、考え方や行動を変えることで負担を軽減することができます。
仕事上の付き合いと割り切る
職場の人間関係は、プライベートな友人関係とは異なります。
全員と仲良くなる必要はなく、業務を円滑に進めるための最低限の関係と捉えることで、心理的な負担を減らすことができます。
好かれなくてもいい、嫌われなければいい」というスタンスで、必要最低限のコミュニケーションを保つことを意識しましょう
相手に期待しすぎない
他人の言動はコントロールできません。「この人はこういう人だ」と受け入れることで、イライラやストレスが減ります。
「上司はもっと自分を評価してくれるはず」「同僚はもっと協力的であるべき」といった期待は、裏切られたときの失望を生みます。自分がどう受け止め、どう対応するかに意識を向ける方が現実的です。
相手に期待するのではなく、「自分がコントロールできること」に意識を向けましょう。
感情と事実を切り分けて考える
人間関係のトラブルでは、感情的になりがちです。「そう感じた」ことと「実際に起きたこと」を切り分けることで、冷静さを保ちやすくなります。
「あの人は私を嫌っている」と感じても、それは事実ではなく自分の解釈かもしれません。 事実(客観的に起こったこと)と感情(自分がどう感じたか)を分けて考える習慣をつけましょう。
例えば、「上司が挨拶を返してくれなかった」という事実に対し、「自分は嫌われている」と解釈するのではなく、「上司は忙しくて気づかなかっただけかもしれない」と複数の可能性を考えることで、冷静な判断ができます。
距離感を調整する
苦手な相手とは、必要以上に関わらないようにしましょう。挨拶と業務連絡だけに絞り、無理に雑談に参加する必要はありません。
逆に、味方になってくれそうな人との関係は大切にします。全員と良好な関係を築くのは難しいですが、一部の信頼できる人との関係があるだけで、職場環境は大きく変わります。
物理的な距離も有効です。可能であれば、座席配置の変更を申し出る、会議では距離を取った席に座るなど、ストレス要因から離れる工夫をしましょう。
信頼できる人に相談する
一人で抱え込まず、誰かに話すことは重要なプロセスです。話すことで気持ちが整理され、客観的な視点や新しい解決策が見つかることもあります。
相談相手は職場内の信頼できる同僚や先輩でもよいですし、プライベートな友人や家族でも構いません。職場内で相談しにくい場合は、産業医や人事部門、外部の相談窓口を活用しましょう。
リラックス・回復の時間を意識的に作る
仕事のストレスを引きずらないよう、意識的にリフレッシュする時間を作りましょう。
休日は仕事のことを考えず、完全にオフにすることも大切です。オンとオフの切り替えを明確にすることで、心の回復力が高まります。
- 趣味の時間:好きなことに没頭する時間を持つ
- 運動:ウォーキング、ヨガ、ジムなど、身体を動かす
- 睡眠:質の良い睡眠を確保する(就寝前のスマホは控える)
- マインドフルネス・瞑想:呼吸に意識を向け、心を落ち着ける
- 自然に触れる:公園を散歩する、緑の多い場所で過ごす
ケース別|職場の人間関係トラブルの対処法
ここからは、具体的なトラブル別に対処法を見ていきましょう。
上司との関係に悩んでいる場合
上司との関係は、評価や業務内容に直結するため、特に慎重な対応が必要です。
報告・連絡・相談を徹底する
上司が最も嫌うのは「報告がない」「情報を隠す」ことです。こまめなコミュニケーションで信頼関係を築きましょう。
上司の期待値を確認する
「どのような形で報告すればよいですか」「優先順位はどう考えればよいですか」と具体的に確認し、期待値のズレを防ぎます。
上司のタイプを理解する
細かい指示を好む上司、大枠だけ決めて任せる上司など、タイプは様々です。上司のスタイルに合わせることで、関係が改善することがあります。
感情的にならない
理不尽な扱いを受けても、その場で感情的に反論するのは避けます。冷静に記録を取り、後で人事や産業医に相談しましょう。
さらに上の上司や人事に相談
パワハラやセクハラなど、明らかに問題がある場合は、証拠を集めた上で人事部門や相談窓口に相談します。
同僚とのトラブルに巻き込まれた場合
派閥争いや噂話、陰口など、同僚間のトラブルに巻き込まれることがあります。
中立の立場を保つ
派閥争いには加わらず、「私は誰とも仲良くしたい」という姿勢を貫きます。
噂話に乗らない
誰かの悪口や噂話が始まっても、同調せず、「そうなんですか」と聞き流します。自分が発信源にならないよう注意しましょう。
事実確認をする
誰かから「○○さんがあなたの悪口を言っていた」と聞いても、鵜呑みにせず、冷静に事実確認をします。
直接話す
誤解やすれ違いがある場合は、第三者を介さず、本人と直接話すことが最も効果的です。
記録を残す
嫌がらせなど、問題行動があれば、日時や内容を記録しておきます。エスカレートした場合の証拠になります。
職場で孤立してしまった場合
小さなコミュニケーションから始める
挨拶、お礼、簡単な雑談など、小さなコミュニケーションを積み重ねます。
自分から声をかける
孤立を解消するには、自分から動くことが必要です。「何か手伝えることはありますか」と声をかけるだけでも印象が変わります。
共通点を見つける
趣味や出身地など、共通の話題があると、距離が縮まりやすくなります。
仕事で貢献する
丁寧な仕事ぶりや困っている人を助ける姿勢は、自然と評価され、関係改善につながります。
社外のコミュニティを持つ
職場だけが全てではありません。趣味のサークルやオンラインコミュニティなど、社外の人間関係を持つことで、心の拠り所ができます。
それでも職場の人間関係が限界なときは
様々な対処法を試しても改善されず、心身に深刻な影響が出ている場合は、環境を変えることも視野に入れましょう。
異動・配置転換の相談
同じ会社内でも、部署が変われば人間関係も変わります。人事部門に相談し、異動の可能性を探ってみましょう。
異動の希望を伝える際は、「現在の部署が嫌だ」というネガティブな理由ではなく、「○○のスキルを活かしたい」「新しい分野に挑戦したい」といったポジティブな理由も併せて伝えると、前向きに検討されやすくなります。
産業医・外部相談窓口の活用
多くの企業には産業医が配置されており、健康相談ができます。産業医は守秘義務があるため、安心して相談できます。また、厚生労働省の「こころの耳」など、外部の無料相談窓口も活用しましょう。
産業医や専門家に相談することで、診断書の発行や休職の手続きなど、具体的な支援につながることもあります。無理をせず、プロの助けを借りることが重要です。
転職・休職の検討
転職は決して「逃げ」ではありません。冒頭でも触れたように、人間関係は離職理由の上位に挙げられる要素であり、環境を変えることで状況が劇的に改善するケースは多くあります。
転職を考える際は、次の職場で同じ問題を繰り返さないよう、自己分析と企業研究をしっかり行いましょう。面接では職場の雰囲気や人間関係についても質問し、自分に合った環境かどうかを見極めることが大切です。
また、休職や退職を検討する際は、経済的な準備や家族との相談も忘れずに行いましょう。
職場の人間関係を改善するために企業・人事ができること
ここからは、企業や人事部門が取り組むべき組織改善の視点をお伝えします。
縦のコミュニケーション(上司・部下)
上司と部下の関係性は、職場環境の質を大きく左右します。
1on1ミーティングの導入
定期的に上司と部下が1対1で対話する時間を設けます。業務の進捗だけでなく、キャリアの悩みや職場環境についても話せる場を提供します。
管理職研修の実施
リーダーシップ、コーチング、傾聴スキルなど、部下との関わり方を学ぶ研修を実施します。特にハラスメント防止研修は必須です。
フィードバック文化の醸成
良い点を認める「ポジティブフィードバック」と、改善点を伝える「建設的フィードバック」のバランスを取り、成長を促す文化を作ります。
横のコミュニケーション(部署・同僚)
同僚間の良好な関係は、チームの生産性と従業員の満足度を高めます。
チームビルディング活動
ランチ会、社内イベント、ワークショップなど、業務以外で交流する機会を設けます。
オープンなコミュニケーションツールの導入
SlackやTeamsなど、気軽に相談や雑談ができるツールを活用します。特にリモートワーク環境では重要です。
クロスファンクショナルなプロジェクト
異なる部署のメンバーが協力するプロジェクトを設定し、組織の壁を超えた人間関係を構築します。
ピアサポート制度
新入社員にメンターをつける、困ったときに相談できる「バディ制度」を導入するなど、助け合いの仕組みを作ります。
心理的安全性のある職場づくり
心理的安全性とは、チーム内で個人が誰に対しても恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態を指します。生産性の高いチームづくりには、心理的安全性を高めることが不可欠です。
多様性を受け入れる
年齢、性別、経歴、価値観の違いを尊重し、多様な意見を歓迎する文化を作ります。
建設的な対立を促す
意見の対立を恐れず、健全な議論を通じてより良い解決策を見つける文化を醸成します。
失敗を学びの機会とする
失敗を責めるのではなく、「何を学べたか」「次にどう活かすか」に焦点を当てます。
公平な評価制度
公平な評価制度は、心理的安全性を高めるうえで根本的な要素です。
「こんなことを言ったら評価に影響が出るかも…」と考えて発言できない組織は健全な組織とは言えません。
成果だけでなく、プロセスや貢献度も評価し、誰もが公平に評価される仕組みを整えます。
ストレスや関係性を可視化する仕組み
問題を早期に発見し、適切に対処するには、従業員の状態を定期的に把握することが重要です。
ストレスチェックの実施と活用
法律で義務付けられているストレスチェック(50人以上の事業場)を単なる実施にとどめず、結果を分析し、組織改善に活用します。
退職面談の実施
退職者から本音の退職理由を聞き取り、組織改善に活かします。
データに基づく意思決定
感覚や経験だけでなく、データに基づいて人事施策を立案・実行します。
従業員サーベイの定期実施
エンゲージメント、満足度、人間関係などを定期的に調査し、問題の早期発見につなげます。
職場環境の状態把握に役立つツール ラフールサーベイ
「ラフールサーベイ」は、社員の心身の健康状態の可視化や職場環境の状態把握に役立つツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。
ラフールネス指数による可視化
組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。
直感的に課題がわかる分析結果
分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。
課題解決の一助となる自動対策リコメンド
分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。
154項目の質問項目で多角的に調査
従業員が答える質問項目は全部で154項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。
まとめ
職場の人間関係に悩むことは、決して特別なことではありません。厚生労働省のデータでも、労働者の4人に1人が人間関係をストレス要因として挙げています。離職理由の上位にも「人間関係」が挙がっていることからも、多くの人が同じ悩みを抱えていることがわかります。
しかし、職場の人間関係は「我慢するもの」ではありません。考え方や行動を変えることで改善できる部分も多くありますし、どうしても改善が難しい場合は、環境を変えるという選択肢もあります。
個人ができることとしては、次のようなものが挙げられます。
- 仕事上の付き合いと割り切る
- 相手に期待しすぎず、感情と事実を分けて考える
- 距離感を調整し、信頼できる人に相談する
- リラックス・回復の時間を意識的に作る
- 限界を感じたら、産業医や外部窓口に相談する
さらに企業ができることとしては次の点が挙げられるでしょう。
- 縦・横のコミュニケーションを活性化する施策を実施する
- 心理的安全性の高い職場文化を醸成する
- 管理職研修やハラスメント防止研修を充実させる
- サーベイを活用し、ストレスや人間関係を可視化する
- データに基づいた組織改善を継続的に行う
職場の人間関係は、個人の努力だけでなく、組織全体で取り組むべき課題です。
一人で抱え込まず、周囲のサポートや専門家の力を借りながら、自分にとって最適な働き方を見つけていきましょう。



