ストレスが溜まってしまうとイライラしてしまい、物事の考え方が狭くなり、いつまでたっても固執した考えが頭をめぐってしまうなど良くないことが多いですよね。人によっては何がストレスなのか分からない人もいるでしょう。
ストレスがたまることによって体調不良になったり、ひどい場合には生活習慣病を発症するおそれもあります。ストレス解消法を実践されている人は多いと思いますが、ストレスケアを実施している人は少ないでしょう。ストレスケアとはストレスが溜まらないような思考をもつことです。
この記事では、ストレスの原因やストレスケアの方法について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ストレスケアとは
ストレスとは、外部から何らかの刺激を受けたときに感じる緊張感のことをいいます。ストレスをため込むことで心身的な状態が悪くなったり、体調を崩すおそれがあります。対処法としてはストレスケアやストレス解消法などがあげられます。ストレスケアとストレス解消法は、同じであると捉えられていることが多いですが、意味合いとしては異なります。
ストレスケアは、長期にわたり自分の考え方や捉え方を変えていくことでストレスをためにくくする方法です。一方でストレス解消法は、ストレスがたまった時にその都度解消する応急処置なので、一時的な効果はとしてはストレス解消法の効果を感じるかもしれませんが、長い目で見ればストレスケアの方が効果的とされています。
ストレスについて知る
ストレスとは
ストレスとはもともと、物理学の用語であり、「外からかかる力による物質のひずみ」を指します。私たちが普段から使う「ストレス」という言葉は、「人間や動物の心身を傷つけるような要因」を示しています。
医学的には外からの刺激に対する心身の反応を、「ストレス反応」と呼び、その反応を起こさせる刺激を「ストレッサー」と呼びます。一般的にどちらも「ストレス」という言葉でまとめて、使用することが多いです。
ストレスが発生するには何かしらの原因があります。また人によってストレスの受け取り方は異なります。
- ストレスが発生する原因
- ストレスをためやすい人のタイプ
について知りましょう。
ストレスが発生する原因
温度や湿度などの環境的要因や寝不足や、二日酔いなどの身体的要因など日常におけるさまざまなことがストレスになるといわれています。
ストレスというとマイナスなイメージを思いがちですが、結婚や出産をはじめ、仕事での昇進、誕生日など喜ばしいことも日常の変化に含まれるため、ストレスにあてはまります。
精神的・身体的に生じる代表的なストレスは以下の通りです。
- 精神的ストレス
- 怒る、不安になる、絶望感、無力感、焦燥感などの感情の変化によるもの
- 身体的ストレス
- 寝不足、病気、血圧、めまいなど身体に生じて感じられるもの
ストレスがたまっていると感じていなくとも、ストレス反応が出ているときは心や身体からのSOSのサインなので、見逃さないように注意が必要です。
ストレスをためやすい人のタイプ
ストレスをため込みやすい人には次のような特徴があります。
- 責任感が強い人
- 完璧主義者
- 心配性な人
- せっかちな人
- 考え込んでしまう人
- 融通が利かない人
こういった人たちは「物事はこうしなくてはいけない」という思い込みの強さが原因でストレスをため込みやすいといわれています。
ストレスがかかることで起こる心身の不調
心身にストレスがかかりすぎてしまうと、以下のような症状が現れることがあります。
- 頭痛 吐き気・嘔吐
- めまい
- 下痢・胃痛
- 発熱
- アトピー性皮膚炎・かゆみ・蕁麻疹(じんましん)
- 息苦しい・過呼吸
- 記憶が飛ぶ
どの症状も、その要因がストレスであることに気づけないことも多いです。そのため対処療法になってしまい、根本的な原因の解決が遅れてしまうことがあります。
ストレスがかかり続けることでの危険性
ストレスが継続的にかかってしまうと、自律神経が乱れるなど、体に悪い影響が起こり続けてしまいます。ストレスを軽減するなど対処をしないと、重大な病気につながってしまうリスクもあります。
ストレスによる身体的な病気として代表的なものは、胃潰瘍、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、自律神経失調症などがあります。
また身体の病気だけでなく、精神的な病気につながってしまうこともあります。例えばうつ病や摂食障害などが、代表的な病気です。身体的な症状も精神的な症状も、早めに医療機関を受診することで、心身の回復につながります。
重大な病気につながらないよう、心身が発信するSOS信号には常にチェックし、普段と異なる部分があれば、ストレスのケアを積極的に行いましょう。
ストレスケアの方法
ストレスケアの方法には次の9つが挙げられます。
- 自分の心のクセや思考パターンを知る
- 物事の捉え方を変える
- 充分な睡眠
- バランスのよい食事を取る
- ヨガや座禅で自分と向き合う
- できるだけ笑う
- 自分のために時間とお金を使う
- 自分が誰からどのようなサポートを受けているかを知る
- 周囲の人に相談してみる
1つずつ詳しく解説します。
下記の資料では、これから解説するセルフケア方法に加えて
- 従業員にとってのセルフマネジメントの重要性
- ご自身のストレスタイプチェック
- ストレスタイプに合ったセルフケア方法
についてまとめました。ダウンロードして、社内共有やご自身のセルフケアにぜひお役立てください。
ストレスとうまく付き合うセルフケア方法
自分の心のクセや思考パターンを知る
自分の考え方や行動思考などを知っておくことでストレスがたまりにくくなります。 たとえば、何らかの出来事に遭遇した瞬間、頭に思い浮かぶ思いがあるはずです。『心のクセ』や『思考パターン』とは、その瞬間的に思い浮かぶことを指します。
思い浮かんだことがプラス思考のこともあれば、マイナス思考のこともありますが、いつもマイナス思考の傾向が強いと、ストレスがたまりやすくなるといわれています。ついつい悪い方向に考えてしまう『心のクセ』や『思考パターン』を、専門用語で認知の歪みと言います。
自分が陥りやすい認知の歪みを知っておくことで次に同じような思いを抱いた時に、「いつものクセ/パターンが出てしまっている。でも実際にはきっとたいして悪いことじゃないはず」などと思えて、気持ちが凝り固まらず楽になっていきます。
物事の捉え方を変える
マイナス思考をし続けているとストレスはたまりやすくなります。視野を狭めたりせず物事を客観的にみていくことでマイナス思考を取り払えます。客観的に考えるためには、物事を紙に書きだしたり、職場以外で人間関係を構築するのがおすすめです。自分だけの考えにとらわれることなく、周囲の人からの意見を聞けるので、考え方の違いや捉え方の違いに気づけるでしょう。
充分な睡眠
睡眠は脳を休ませられるので、ストレスケアに効果的とされています。充分な睡眠がとれていないとイライラしやすくなったり、集中できず、仕事でのミスが増えるなど自分にとって良くないことが起きやすくなります。
また、睡眠不足が続くと身体も充分に休めないので、神経やホルモンバランスに乱れが生じてしまい体調をくずしてしまう可能性もあります。睡眠時間は最低でも6時間~8時間は取るのが良いでしょう。また、朝起きたときに日の光を浴び、日中に運動するなどの正しい生活リズムを身に付けることで身体的な乱れを解消できます。
バランスのよい食事を取る
体内の神経伝達物質である「セロトニン」という成分が不足すると、うつ病になりやすいといわれており、昨今のうつ病治療では体内の「セロトニン」を増やす薬が登場しています。「セロトニン」はアミノ酸である「トリプトファン」を原料につくられるため、食事による「トリプトファン」の摂取はストレスケアに有効といえるでしょう。「トリプトファン」の元になるのは、野菜や豆類・乳製品などからえられるタンパク質です。また、体内で「トリプトファン」をつくるためには十分な鉄分、マグネシウム、亜鉛なども合わせて摂取する必要があります。
他にもビタミンB群やビタミンCなど、ストレスケアに効果が期待できる栄養素はたくさんあるため、日頃からバランスよく食事をとることはとても重要です。
ヨガや座禅で自分と向き合う
ヨガで行う呼吸法には雑念をとりはらい、気持ちを落ち着かせてリラックスさせる効果をもっています。座禅もヨガと同様に雑念をとりはらい、自分と向き合うことでストレスをとりはらう効果があります。
できるだけ笑う
脳は笑うことで「楽しい」という感情が芽生えます。楽しい感情は落ち込んだ気持ちをとりはらってくれるので、笑える映画や番組を見たり、笑いながら行なう「笑いヨガ」に参加している人も最近ではみかけます。声に出して笑うことでストレスケアになります。
自分のために時間とお金を使う
自分だけの時間をつくることで、メンタルケアの改善が期待できます。1日何分はジョギングする、散歩する、ぼーっとするなど、何でもよいので「好きなことをする私の時間」を意識的につくるようにしましょう。また、自分へのご褒美という言葉があるように、少しくらいは自分にもお金を使ってあげるようにしてみてください。
自分に何かを買い与えることで生きることの活力にもなりますし、購買欲があることで「明日も頑張ろう」という気持ちに切り替わることがあります。
自分が誰からどのようなサポートを受けているかを知る
自分の今の状況や自分の心の整理を行うために、紙に書き出してみてください。書いてみることで自分のことを客観的に評価できます。また、真ん中に自分を書き、その周辺にサポートしてくれる人を書くようにすると、誰が自分にどのようなサポートをしてくれているのかを再確認できます。
「自分はいろんな人に支えられて生きている」ことを実感でき、ストレスケアにつながることもあります。
周囲の人に相談してみる
自分の考えを人に話すだけでもストレスケアになります。悩みをいつまでもため込んでいると、どんどん深く考えてしまいふさぎ込んでしまうことがあるため、声に出して誰かに話してみることをおすすめします。
しかし、話す人を選ぶときには注意が必要です。人によっては話をちゃんと聞いてくれなかったり、自分の意見との違いがあったり、冷たくあしらわれてしまうことがあります。この場合には逆にストレスを感じてしまいます。
事態が悪化しないようにするためにも、カウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。特に身体的な異常が出てきた場合は早いうちに専門家に相談するのが良いでしょう。
適度な運動をする
有酸素運動などを行い汗を流すことで、気持ちを前向きにできます。運動をすることで分泌されるテストステロンは、幸せホルモンの1つに分類され、心を健康にしてくれます。軽めの運動が好ましく、ウォーキング、軽いランニング、水泳、サイクリングなどがおすすめです。
負荷のかかりすぎる強度の強い運動や、無酸素運動は避けるようにしましょう。慣れていない方だとかえって、身体的にも精神的にもストレスがかかってしまうリスクがあるからです。
職場でできるストレス解消法
ストレスケアと比べて効果は一時的にはなりますが、こまめにストレス解消法を実践することでストレスがたまりにくくなります。
おすすめのストレス解消法についてご紹介します。
トイレに立って気分転換
尿意や便意の有無にかかわらず、トイレに立つことで自分の考えが整理でき、気分転換を図れます。行ったついでに深呼吸や軽く体操を行うと更に効果が得られるのでおすすめです。
ガムを噛む
ガムをかむことで脳に刺激が伝わり、リフレッシュ効果やリラックス効果が得られます。気持ちを落ち着かせられ、考えがまとまりやすくなるのでおすすめです。
緑茶を飲む
いきづまってしまった時にはティーブレイクを行うとよいでしょう。よくコーヒーを飲む人がいますが、カフェインは胃への刺激となったり、心拍数をあげてしまいストレスを増やしてしまうおそれがあるためあまりおすすめしません。
緑茶にもカフェインは含まれていますが、緑茶には「テアニン」というカフェインのはたらきを弱めてくれるアミノ酸が含まれています。
普段からよくコーヒーを飲んでいる人は緑茶に切り替えてみてください。
落ち着ける環境作り
職場のデスクや自宅のPCの背景画像をお気に入りのものに変更してみたり、植物を飾ってみたり、アロマを焚くなど、自分が好きな環境に作り変えてみてください。
植物の緑にはリラックス効果もあり、植物を見ることで血圧を下げたり、仕事がはかどるなどの効果が期待できます。
アロマも同様に自分の好きな香りを取り入れることで気持ちを一新できたり、張り詰めた感情をとりはらえます。
呼吸に集中しながら深呼吸する
深呼吸もストレスの解消には、とても効果的です。お昼休憩などに落ち着ける場所に移動し、楽な姿勢で静かに目を閉じて、呼吸に集中をしましょう。移動をすることが難しい場合は、デスクで行っても構いません。正しい深呼吸のやり方は、以下の通りです。
①息を吐ききった状態にし、鼻から肺いっぱいに息を吸い込む
②背筋を伸ばした状態で、腹部が膨らむまで息を吸う
③吸うときの倍くらいの時間をかけて、口からゆっくりと息を吐く
④このサイクルを5回ほど繰り返す
呼吸を整えることで自律神経が整い、精神的に安定します。心身のリフレッシュに効果的なので、まずは1日1回でも取り組んでみましょう。
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まとめ
ストレスの原因やストレスケアの方法について説明をしてきましたが、いかがでしたか?
今回の記事のポイントは
- ストレスにはさまざまな種類がある
- マイナスな出来事だけでなくプラスな出来事もストレスの原因
- 「こうしなくちゃいけない」と考えている人ほどストレスをためやすい
- ストレスケアとストレス解消法は異なる
- 自分を客観視することで心の整理ができ、視野を広くできる
- 日頃からストレスがたまらないような環境づくりを行うことが大切
でした。
こまめにストレスを発散することで、感情の爆発や気分の落ち込みを防げますが、ストレスが溜まらないような思考回路をもつことで、ストレスを大きく軽減できるでしょう。
プラス思考に気持ちを切り替えることを心がけてみてください。