仕事や学業など、どんな分野にも困難はつきものです。何か壁に突き当たった時「自分には才能がないから無理だ」と捉えるでしょうか。それとも「解決方法を探るチャレンジだ」と捉えるでしょうか。あきらめてしまえばそこまでですが、後者の考え方をすれば、解決のための努力を持続的に積み重ねて、成長できる自分に出会えます。そのプロセスで積み上げられた知識やスキルは財産となり、問題解決や新たな視点を生み出していけるでしょう。
今回は成長する自分を手に入れるためのマインドセットについて紹介します。
マインドセットとは?
マインドセットとは人の行動につながる「ものの見方」や「考え方」といった思考様式のことです。マインドセットはさまざまな要因によって決定されています。その要因とは成功や失敗などの経験、幼少期からの刷り込みや教育、メディアを通して学習した思い込みや先入観、信念や価値観などです。
マインドセットの研究者キャロル・ドゥエック氏によると、多くの人が「性格だから変えられない」と思っているもののほとんどは自分のマインドセットが作り出しているものだといいます。ですから、マインドセットを変えれば性格だと思っていることも変えることができるのです。
硬直マインドセット
人の能力は固定的でほとんど変わることがないという考え方を硬直マインドセットと呼びます。マインドセットがこちこちな人は、成長の力を信じていないため、自分のための自己投資や勉強、努力を重視しない傾向があります。また、自分ができないことに直面すると、自分の能力不足が原因であると感じて、それを嘆くので、悲観的に見えます。
成長マインドセット
持って生まれた才能、適正、興味、気質は1人ひとり異なるけれど、努力と経験を重ねることで、誰でもみな大きく伸びていけるという考え方です。成長マインドセットはしなやかマインドセットとも呼ばれ、能力を伸ばすには、努力や自己投資の道があると信じているため、能力不足だと感じても楽観的に捉えて努力します。また、自分ができないことに直面してもこれを成長のチャンスだと捉えて、積極的にチャレンジします。
成長を促すマインドセットを手に入れよう
マインドセットがコチコチな人は成功するか、周りからどう評価されるかを重視します。マインドセットがしなやかな人はたとえすぐに成功に結びつかなくても自分自身の成長を重視し、努力します。成長マインドセットは人の努力を可能にし、成長によって結果を出していける自分を手に入れることができるのです。
仕事も人生もしなやかに!成長マインドセットを手に入れる5つのステップ
硬直マインドセットは長年の経験や刷り込みによって形成されているため、それを変えるには時間を要します。また、焦って無理に変えようとしてこれまでの自分を否定してしまっては本末転倒です。焦らず、自分自身をふりかえりながら進めましょう。
自己認識
‐STEP1 今の自分を受け入れる
人は硬直マインドセットと成長マインドセットの2種類にはっきり分かれるわけではありません。多くの人は、硬直マインドセットと成長マインドセットの両方をあわせ持ち、よい面には自信を持ち、こちこちの部分は変えたいと考えているでしょう。どの部分が硬直しているのか、今の自分の現状を見つめなおしてみましょう。また、自分の現状を受けいれている時点で、成長マインドセットに向けて大きく前進していることに自信を持ちましょう。
‐STEP2 自分のものの味方・考え方のパターンを知る
自分の思考の癖やパターンは、自分ではとても気づきにくいものです。とくに「○○であるべきだ」「○○であらねばならない」といった思考が身についてしまっていると、自分は本心ではどう感じているのかに気づきにくくなります。自分が「○○であるべきだ」「○○であらねばならない」と言い聞かせていることは何か、なぜそう考えるのかを振り返ってみましょう。
目標の明確化と実践
‐STEP3 目標を言葉に
自分自身の硬直マインドセットに気づいたら、それを徐々に転換していくために、どんな自分になりたいか、どんな目標に向かっていきたいかをイメージしましょう。イメージできたら、言葉にして書き留めたり、誰かに聞いてもらうと効果的です。
‐STEP4 行動に移す
目標が決まったら、目標達成のためにできる行動をたくさん書き出してみましょう。すぐに取り組めそうなこともたくさん挙げ、できることから行動に移してみることがポイントです
問題解決思考で前に進む
‐STEP5 目標の達成や問題解決を意識した問いかけ
困難や壁に突き当たったときは、「もう無理だ」とあきらめる前に、どうしたら壁を乗り越えられるかを自問自答する癖をつけましょう。「どんな方法で乗り越えられるか」「どんな情報や、どんな人の協力があればよいか」と問い直せば、また新たな努力ポイントや行動すべきことが見えてきます。
成長マインドセットを手に入れやすくするための姿勢
ミッション意識
自分の好きな分野や得意分野の仕事をしている人はよいけれど、今の仕事は自分に向いていないから努力も能力を伸ばすことも無理だと考える人もいるでしょう。しかし、多くの人は得意分野でなくても仕事に熱中し、能力を発揮しています。成長マインドセットの人は、得意不得意、好き嫌いに関わらず、その仕事にミッション(使命感)を持って 取り組んでいます。 自分が生み出すものや情報、サービスが人や社会に貢献していることを意識してみましょう。
変わることを恐れない
今まで付き合ってきた自分のものの見方や考え方を変えることに不安や抵抗を覚える人もいるでしょう。しかし、かつてない変化を経験している現代社会では、ずっと同じ思考様式では、新たな壁や困難を乗り越えることができません。従来の自己イメージに固執せず、新たな自分を発見していきましょう。
批判を受け止める力・指摘する力
マインドセットがこちこちの場合、仕事できつくミスを指摘されたり、改善を要求された時に、まるで自分に能力がないと言われているように感じて落ち込むことがあります。ポイントは、指摘をされたことはあくまで書類上のミスであって、人格ではないということをしっかりふまえておくことです。自分がリーダーとして指摘する立場になった時も、この点を意識して指摘することで、部下やスタッフの前向きな改善や成長を促す指摘ができるようになります。
まとめ
仕事や人生のさまざまな局面で、「自分には能力がないからできない」「自分は○○な性格だから変えられない」と行き詰まりを感じてしまう場面もあるでしょう。しかし、そのできない、変えられないことの多くはマインドセットを切り替えることで、前に進めるようになることが、多くの実験で実証されています。
今回は、前向きに努力して成長していける自分になるためのヒントとして、マインドセットについて紹介しました。参考になれば幸いです。