些細なことでイライラし、楽しいと感じることが一切ない。以前はそんなことなかったのに、という人は、ストレスで心が限界を迎えつつあるサインです。長引けば、不眠症やうつ病などに発展するリスクもあります。心理的な対処法を知って、早めにケアしませんか?
目次
何をしても楽しくないのはなぜ?心のメカニズムとストレス
これまで楽しいと思っていた友達との会話やお出かけ。なんだか億劫で楽しいと感じなくなったのなら、ストレスの限界量を超えている証拠です。
心理カウンセラーである田倉怜美さんの「こころの予防医学」によれば、「人間にはストレスに対して、外に跳ね返す力(自然治癒力)」がある一方で、「慢性的にストレスを受けたり、自然治癒力よりもかかるストレスのほうが多かったりすると、次第に跳ね返す力も損なわれていきます」と説明しています。
仕事量が多く、上司とぎくしゃくなど、不満や憂うつさがあっても本来は自然治癒力で回復します。長い間持ち越すことはありません。
しかし連日の残業や上司との関係がどんどん悪化する場合、慢性的なストレスとなります。やがて回復が追い付かず、イライラや憂うつな気分が持ち越されるのです。
同書では、溜まったストレスの出方として「楽しいと感じないなどの感情の鈍化」「イライラがおさまらないなどの感情のコントロールが効かない」「外に出たくない」「人と話したくない」などと、紹介しています。
あなたが最近は何をしても楽しくないと感じるなら、まさに心が限界を超えた結果ともいえるでしょう。
その症状がさらに続けば、うつ病や不眠症、自律神経失調症へと発展するリスクも高まります。深刻化する前に、早めに対処法を行いましょう。
本当は何がイヤ?根本原因をあぶりだす書き出しワーク
心がSOSサインを出していると聞いて、あなたは心当たりが浮かびましたか?我慢ばかりの日々を送っていると、ストレスへの自覚がしづらくなります。
まずは、紙とペンを用意し、ここ2週間くらいで起きた「イヤなこと」「困ったこと」「悩んだこと」を書き出してみましょう。
頭だけで考えずに、実際に手を動かして書くことで、しまい込んでいた感情も思い出しやすくなります。
・旅行したいのに世間の目が気になって行けない
・慣れないテレワークで疲れが溜まっている
・職場の人間関係がぎくしゃくしてつらい
・SNSのきらきら投稿を見て、しんどい
・仕事が忙しく自分の時間がない
・遠距離恋愛で彼氏/彼女に会えずに寂しい など
書き出してみると、あまりの多さにびっくりするかもしれません。1つ、2つと書き出しているうちに、「すべて仕事関連だ」「人間関係の悩みばかり」と根本的な原因が見えてくるでしょう。
原因を把握することで、上司と距離を置いたり、近場に外出したりなど、自分なりの対処ができるはずです。
ストレスを見えるようにする「スケール化」
心の中はわかりづらいものです。テレワークやSNS疲れなどの原因が特定できても、どのくらいのストレス量か、目で見えないためです。
そこで、「スケール化」をしましょう。ストレスを可視化できます。
あなたのストレスに0~10までで得点を付けていくのです。たとえば、ストレスがまったくないなら0点。ストレスフルで、連日不安や自己嫌悪などのネガティブな感情になっているなら10点。
この基準で、それぞれの悩みやストレスを得点で表し、分析しましょう。
・1つだけ得点が高い⇒それにかかわる時間を減らす
・点数は低いが項目が多い⇒我慢をする時間を減らす
傾向を読み解くことで、あなたに合った対策が打てます。
“つらい” “やりたくない”があってもいい。感情を受け止める
書き出しワークを通じて、本音ではやりたくないと感じても、周囲の目を意識してやめる判断ができず、対処法を思いついても実践が難しいと感じるかもしれません。
ぜひ意識してほしいのが「シャンパンタワーの法則」です。シャンパンタワーの1番上が「あなた自身」、2段目が「近しい人や家族」、3段目が「友達や仕事仲間」、4段目が「お客様」です。
さて、あなたはどこから注いでいますか?1番上から注げば、4段目にも渡ります。しかし4段目から注げば、上の段は空のままです。
あなたの心を大事にしましょう。「つらい」「やりたくない」があってもいいのです。周囲の目や常識によって我慢ばかりとなり、1段目が空になっていませんか?まずはありのままの感情を受け止め、叶える工夫をしましょう。やがてストレスフリーになれます。
まとめ
イライラや楽しくないのは、心の疲れによるものです。書き出しワークやスケール化、感情の受け止めをし、疲れや不満につながる行動を減らしましょう。
今までと違う行動をとるのは、勇気がいるかもしれません。けれど、我慢を減らせば心にゆとりが生まれ、ふたたび楽しいと感じられます。
引用文献:
田倉怜美「こころの予防医学~偽りの仮面を投げ捨てて自分らしく生きる方法~」2017 ギャラクシーブックス